このブログでは主に空き家問題について書きます。タイトルの「HALF EMPTY」は、経営学の父と言われるP・F・ドラッガーの名言から頂きました。
If general perception changes from seeing the glass as “half full” to seeing it as “half empty”, there are major innovative opportunities.
(世の中の認識が、「コップに水が半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる)。さらにドラッカーは、『コップに「半分入っている」か「半分からである』かは、実態ではなく認識が決定する。」と述べています(ドラッカー著「イノベーションと企業家精神」)。
-実態は変化しない、認識が変化する、意味が変化する。-
この考え方は、日本社会が直面する「少子高齢化」や「空き家」のような社会問題にも当てはめることができます。

それではドラッカーの考えに沿って「空き家」問題の状況を考えてみます。
私の勝手なイメージですが、空き家の活用法を大きく分類をすれば下図のようなイメージになるのではないでしょうか。活用法は所有者の状況、立地、建物のポテンシャル等の違いによって異なった答えが導き出されます。

また空き家が話題として語られる場合、現時点では左側の意味で語られるケースが多いと感じます。
右側の活用が可能なケースは、そもそも所有者にとって問題になっていない為あまり語られないのは当然ですね。
問題は大多数の空き家が中央の未活用ゾーンにあるという実態です。
今後は、空き家をどんどん処分して、等価交換などにより居住地の集約を進めるというマスタープラン的な発想から、地域コミュニティの拠点として活用するという様々なアイデアが考えられると思いますが、空き家は社会のお荷物かそれとも資源かという人々の認識の違いが、未来の方向性に大きく影響すると考えられます。そしてその人々の認識に大きく影響をするのが、イノベーターによる「ベストプラクティス(最良の事例)」です。
現時点では、未活用ゾーンの人々に認識の変化を促すプラクティスがまだ生まれていないのです。
そういう意味では、社会は空き家問題を牽引する「ベストプラクティス」の出現を待っている状態と言えます。

株式会社ナカムラ建工
代表取締役 中村靖雄
日本工業大学専門職大学院
技術経営(MOT)修士